ここでは、リノベーションによる書庫作りの概要、ポイント、施工事例などをご紹介します。数あるリノベーションの中でも、書庫の増設は比較的人気の高い施工の一つ。書庫の増設だけならば費用は低めに抑えられるので、興味のある方は、ぜひ積極的に検討してみましょう。
読書が趣味の方にとって、たとえば1週間に1冊の頻度で新たな本を購入することは、決して珍しくありません。なおかつ、読書好きな人であればこそ、過去に買った本を廃棄することも難しいことでしょう。
そのような方の家では、必然的に本がどんどん増えていきます。1週間に1冊のペースで増え続ければ、10年で520冊、40年で2,000冊以上。パートナーやお子様も本好きであれば、世帯の中に本が5,000冊くらいあっても不思議ではありません。とても普通の本棚に収まる量ではないでしょう。
本に関心のない方は、「それなら古本屋さんに売れば?」「段ボール箱に詰めて押し入れにしまっておけば?」などと思うかもしれませんが、本好きの人に、そのような助言は響きません。
読むか読まないかを問わず、どの本でも常に手の届く範囲に置いておきたいのが、本好きの本能です。言い換えれば、いつでも本に囲まれていたいのが本好きの感覚です。
本棚に収められる量ではない以上、リノベーションによる書庫の増設を考えることは、本好きにとって必然的な結論なのかもしれません。
リノベーションで書庫を作るときのポイントを見てみましょう。
自由な場所で自由設計できるのがリノベーションの魅力ですが、書庫の増設に関しては、大半の人が壁面に造作する形での書庫を選んでいるようです。
リビングなどの広い壁を利用し、天井まで高く本棚を造作すれば、かなりの量の本を収納することができます。かつ厚みはあまり必要ないので、既存の空間が狭くなったり圧迫されたりする感覚は、ほとんどありません。
壁面の造作本棚のほかにも、屋内にスペースを用意できるならば、個室タイプの書庫を作ることもおすすめ。
ドアがある面以外の3面をすべて本棚にすれば、さながら本物の図書館のようです。
本好きの方であれば、個室タイプの書庫に椅子を持ち込んで一人ウトウトする、というのも幸せな時間かもしれませんね。
やや狭い個室の中に、壁面本棚と在宅ワーク用のスペースを併設するリノベーションも多く見られます。
仕事に疲れたときや仕事が終わったときに、ふと趣味の本に手を伸ばすことができる、とてもぜいたくな空間です。
仕事が終わってから趣味の本を片手に取り、そのままデスクで美味しいお酒を堪能するのも良いのでは?
学者や作家の自宅では、多くの場合、本を置く部屋の土台を補強しているとの話を聞きます。
本当かどうかは定かではありませんが、古くから「大量の本で床が抜けた」という話を確かに聞きます。
壁面の本棚程度で床が傷むことはないと思いますが、狭い個室タイプの書庫を増設する場合、念のため土台補強が必要かどうか、工務店に調査してもらったほうが無難かもしれません。
万が一、大きな地震が発生した際、高い場所から本がバラバラと落ちてくるとケガをするかもしれません。よって高い場所にも本を収納するタイプの壁面書庫を造作する場合には、ご家族の安全を配慮した場所を選ぶことが大切です。
小さなお子様がいる世帯では、お子様の遊び場にもなるところに書庫を設置すべきではないでしょう。また、寝室に書庫を設置する場合には、就寝中の急な地震でケガをしないよう、高さを抑えた書庫にしたほうが良いかもしれません。
実際に行われた書庫リノベーションの事例をいくつか見てみましょう。
「活字中毒」を自認する施主。好きな作家の本は、デジタルではなく紙媒体で所有したいとの思いから、自宅に書庫を増設することにしたそうです。施主さんのお子様も感化されてか、人気漫画や有名な絵本も収納してありますね。
64.09平米の3LDKのマンションを2LDKに大胆リノベーション。かつてあった和室とキッチンをつないて13平米のLDKとし、その中に造作壁面書庫を作りました。書庫とキッチンとの色に統一性がありスタイリッシュな印象。
音楽、映画鑑賞、読書がお好きなご夫妻。マンションをリノベーションする際、趣味の本・レコード・CDなどを収納する場所として、壁一面の書庫を作りました。書庫の下には、簡単な作業ができるようカウンターデスクを造作。
もともとリビングの横にあった和室スペースにカーペットを敷き、大容量の本棚を造作して屋内書庫を設置。壁に囲まれた一室なので、まるで本物の図書館にいるのようです。入り口の柱と梁がオシャレなアクセントに。