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「withコロナ」との言葉が示す通り、たとえワクチン接種が国内に広く普及しても、当面、テレワークの風潮は続きそうな印象です。むしろ新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに、今後は多くの企業において、コロナとは別の理由でテレワークの導入を積極かするかもしれません。
働き方のスタイルが急速に変化しつつある以上、この流れに合わせて自宅をテレワークしやすい環境にリノベーションする人も増えてくることでしょう。
テレワーク向けのリノベーションを検討する際の大事な考え方について、以下3点をまとめてみました。
一口にテレワークとは言っても、仕事内容は会社によって、人によってまったく異なります。仕事内容が異なる以上、効率的な空間の仕様も異なるということ。言い換えれば、リノベーションの内容も異なるということです。
漠然と「テレワーク向けのリノベーション」を考えるのではなく、テレワークでどのような仕事をやることになりそうなのか、具体的に仕事内容をリストアップしてみましょう。リストアップしたものを設計会社に提示すれば、理想的なリノベーションの提案をしてもらえるはずです。
テレワークをする上で大きな問題となるのが、家族との距離感。家族と近づきすぎては、集中力が途切れてしまい仕事になりません。逆に、家族との間に濃厚な一線を引いて部屋にこもっていると、「家にいるのに何か手伝ってくれないの?」という視線が飛んできて、こちらも仕事になりません。
家族との関係を良好に維持しつつテレワークを行うためには、あらかじめテレワーク当日の家族との距離感を決め、その距離感を家族に話して納得してもらうことが大事。家族の納得を得たうえで、リノベーションの設計を具体的に考えていきましょう。
テレワークという働き方が日本社会に定着するかどうかは、まだ数年たってみなければ分かりません。もしかすると数年後には、ふたたびコロナ以前のような普通の働き方に戻っている可能性もあります。
リノベーションを考える際には、早々にテレワークという風潮が終焉を迎える可能性があることも考慮しておきたいもの。仕事部屋を使わなくなってからも何らかの用途に有効活用できるよう、汎用性の高い仕様・設計にしておくことが大事です。
では、テレワーク向けの部屋を設計・仕様を検討する際の具体的なポイントについて見てみましょう。
自宅で仕事をするうえで、広いスペースは必要ありません。むしろ広すぎると集中力が散漫になる恐れがあるので注意してください。2~3畳ほどの広さがあれば十分です。
長時間にわたって同じ姿勢で作業をする以上、体に負担のかかりにくい机・椅子を用意する必要があります。
テレワーク用の小さな個室を設ける場合、できれば防音工事も一緒にお願いしましょう。家族の生活音は、想像以上に仕事の障害となります。
オンライン会議やオンライン打ち合わせをする可能性がある場合には、背景にも注意しましょう。シンプルな単色の壁だけ映るようにしておけば無難です。
意識したことがないかもしれませんが、職場と家庭とでは、照明の明るさがまったく違います。テレワークを行う部屋は、リビングなどに比べても余分に明るい仕様にしておくべきでしょう。
テレワークに最適な場所を見つけたものの、電源が遠すぎて作業がやりにくい、という声をよく聞きます。リノベーション工事の際、必要に応じて使いやすい位置に電源を引いてもらいましょう。
効率的なテレワークができるリノベーション事例を3つほどご紹介します。
屋内の狭いスペースを見つけ、そこに机や棚を造作した仕事部屋。他から遮断された雰囲気の中、集中力が上がりそうです。もう少し楽な椅子を用意し、かつ照明をより明るくすれば完璧に近いテレワークスペースかもしれません。
横長の机と座りやすそうな椅子。造作された棚には、仕事用の書籍を中心に必要最小限のものだけが置かれています。オンライン会議を意識したと思われる背景のタペストリーもおしゃれ。ブラインドを下ろせば、前の部屋と視界を遮断することもできます。
家族との距離感を適度に保ちつつ、リラックスした状態でテレワークをやりたいという方には、こちらのような設計・仕様もおすすめ。仕事をしながら奥様やお子様の様子を見渡せるよう、作業スペースとリビングとの間を、壁ではなく窓で仕切っています。